切なくて温かい気持ちになる小説「はじめ/乙一 」あらすじを解説!

今日は僕が好きな小説、乙一の「はじめ」のあらすじを紹介します。
90ページ程度の短編小説なので2時間くらいで読めて、読んだ後は切なくて温かい気持ちになるおすすめの小説です。

あらすじ

「もうすぐはじめの一周忌だ。花束でも買ってあいつの死んだ場所へ行こうじゃないか。」
そんな電話を受け取った主人公が、はじめとの出会いを回想するところから物語は始まります。

小学4年生までさかのぼる

はじめとの出会いは小学4年生まで遡ります。

鶏小屋の掃除当番だった主人公はある日不注意でひよこを踏んでしまいます。
ひよこの死体を下水道に隠し証拠隠滅をはかりますが、ひょんなことからひよこが発見され教室中で騒ぎになります。
犯人探しが始まり、真っ先に疑いをかけられた主人公と、同じ掃除当番だった木園。

とっさに嘘をつく

職員室に呼び出された二人は担任の先生に問い詰められます。
主人公と木園はとっさに「はじめ」がやったんだと嘘をつきます。

はじめって誰だ?となるのですが、とっさについた嘘なので主人公達にもわかるわけがありません。「白いセーターを着ていた」「半ズボンだった」「他の小学校の子」「女の子」とさらに嘘を重ねます。

ひよこ殺しの犯人は実は女の子だった。というショッキングな出来事は学校中で話題になります。しばらくの間、主人公と木園は「はじめ」を発見した事でチヤホヤされます。

はじめの噂が街中に広がる

次第に「わたしもはじめを見た!」という生徒が続出します。
当然主人公達のついた嘘なのではじめなんているわけがないのですが、小学生達は主人公や木園のように叱られるのが恐くて自分の罪をはじめがやったという事にしていました。

次第にはじめの悪名は街中に広がりいつしかはじめのことを知らない住人はいないほどでした。

街を流れる地下水道

主人公たちが暮らす街には、誰が何の為に作ったかわからない巨大な地下水道がながれているという噂がありました。
職員室での一件からいつしか親友となっていた主人公と木園は、偶然にも地下水道への入り口を発見しそこを溜まり場として利用していました。

自分たちがついた嘘が、今や街中に広がっている事に興奮した二人は「はじめ」について語ります。
「はじめは貧乏だから苦労している」
「冬でも半ズボンをはいている」
「野球帽を被っている」
「いつもブルーベリーのガムを噛んでいる」
「この街で一番地下水道に詳しい」
と、はじめの設定がどんどん追加されていきます。

地下水道の探検

地下水道の地図を作ろうと画策した二人は探索を始めます。
いつものように地下水道の中を探索していた二人ですが、そのうちに懐中電灯の電池が切れてしまいます。想像以上に入り組んだ地下水道で完全に迷子になった二人は喧嘩になり、やがて疲れてへたりこんでしまいます。

疲労で意識が朦朧としてきた二人。不意に誰かに手を掴まれます。
謎の人物に手を引かれるまま無事地上へと出たふたり、そこには「半ズボン」「野球帽」「ブルーベリー味のガム」を噛んでいる女の子がいました。
自分たちの妄想の中で語っていた「はじめ」だったのです。

本編へ

その後、はじめがなぜ出現したのか、なぜはじめは二人にしか見えないのかを描きながら、主人公、木園、はじめの三人は友人として八年間を過ごし冒頭のシーンへと戻ります。

そしてこの小説の最後の一文「なぜ八年間もはじめが消えなかったのか、それは、消えたくなかったからなんだ。」を読んだ瞬間、全てが救われたような、それでよかったんだと思えるなんとも切なく温かい気持ちになります。

「はじめ」が収録されている本

平面いぬ

乙一の「平面いぬ」に収録されています。

はじめの他にも「石の目」「BLUE」「平面いぬ」の3つが収録されています。他の3つももちろん面白いですが、はじめだけでも読んで見る価値はあります!

コミック

デスノートやヒカルの碁でおなじみの小畑健先生により、週刊少年ジャンプ2003年5号に前編、同6・7合併号に後編が連載されているようですが残念ながら単行本化や電子化はされていません。現時点では当時のジャンプを手に入れるしか方法がないようです。

当時のジャンプを販売しているサイトで検索してみたところ、値段が定価の7、8倍に高騰しており、売り切れていたため、入手はかなり難しいと思われます。

まとめ

90ページほどなのでサクッと読めます。
切なくて同時にほんわかとした気持ちになるので、不思議な誤読感を味わいたい方にオススメです。

他にも乙一の作品にについてはこちらで解説しています。

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