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乙一、中田永一、山白朝子のおすすめ16選

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切なく胸が苦しくなるような作品や、残酷でグロテスクな表現を多用する作品、ファンタジーから恋愛小説まで幅広い作風を持つ作家、乙一。

今回は乙一の中でおすすめの作品を紹介していきます。

乙一とは

本名 : 安達寛高 1978年(昭和53年)10月21日にち生まれ
福岡県久留米市で生まれ16歳で執筆した小説「夏と花火と私の死体」でジャンプ小説大賞を受賞し有名に。

覆面作家としても有名で乙一以外にも「中田永一」「山白朝子」「越前魔太郎」「枕木憂士」としてこれまでに短編長編全て合わせて150作品ほど発表しており、乙一名義では「ZOO」「君にしか聞こえない」「暗いところで待ち合わせ」「GOTH」中田永一名義では「くちびるに歌を」「百瀬、こっちを向いて」「吉祥寺の朝比奈くん」などが映画化されています。

また近年は本名である「安達寛高」名義で映画監督や脚本家としても活躍しており「ホッタラケの島」「ウルトラマンジード」「シライサン」「サマーゴースト」など数々の有名作品にも携わっています。

作品を選ぶときのポイント

作品のテイストで選ぶ

著者のファンの間では、残酷な表現やホラー要素が多い作品は「黒乙一」、切なく胸が締め付けられるような描写が多い作品は「白乙一」と呼ばれています。

また著者は中田永一や山白朝子と言った名前でも活動しており、切なく胸が締め付けられるような恋愛小説を多く出している中田永一は「白乙一」不気味で幻想的な話が多い山白朝子は「黒乙一」と分類することができます。

どの作品にも共通しているのは著者特有の淡々とした文章、作中に散りばめられた伏線を物語終盤に綺麗に回収していく構成力があります。

どの作品も面白いので以下では個人的に面白かった本を紹介します。

夏と花火と私の死体

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?

乙一の代表作として真っ先に上がるデビュー作「夏と花火と私の死体」
物語の冒頭で殺され死体となる主人公「私」それを隠蔽しようとする同級生とその兄。
死体となった主人公目線でストーリーが展開され終始ハラハラする展開でテンポよくストーリーが進んでいきます。
子供ならではの残酷さや最後のオチは秀逸です。

収録作品
夏と花火と私の死体」
「優子」

きみにしか聞こえない-Calling You-

私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…

乙一ワールドの真骨頂、切なくて柔らかい気持ちになれる3つの短編集。
頭の中に出現した携帯電話でとある少年と出会うまでの過程を描く「Calling You」
他人の傷を自らに転移させることができる心優しい少年を描いた作品「傷-KIZ/KIDS-」
傷を負った人々が歌う華の発見をきっかけに深い真相に辿り着く話「華歌」

どれも不思議で切ない物語です。特に表題作である「Calling You」は読んだ後、温かいような切ないようななんとも言えない気持ちをになります。

収録作品
「Calling You」
「傷-KIZ/KIDS-」
「華歌」

銃とチョコレート

大富豪の家を狙い財宝を盗み続ける大悪党ゴディバと、国民的ヒーローの名探偵ロイズ対決は世間注目の的。健気で一途な少年リンツが偶然手に入れた地図は事件解決の鍵か!? リンツは憧れの存在・ロイズと冒険の旅にでる。

乙一の書く数少ない児童書のひとつ。
内容や設定は子供向けではありますが著者ならではのトリックやユーモアが楽しめる。乙一の魅力が詰まった一冊。児童書なのでひらがなも多く小さい子供も楽しめるでしょう。

収録作品
銃とチョコレート」

失はれる物語

目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見たて、日々の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが……。

事故により肘から先の感覚しかなくなった主人公と妻の交流を描く「失はれる物語」に、切なく温かい気持ちになる6作を加えた全7つの短編からなる小説です。
全ての短編を通じいろんな形の「愛」を垣間見ることができます。
表題作である「失はれる物語」と「しあわせは子猫のかたち」は個人的におすすめです。

収録作品
失はれる物語」
「Calling You」
「マリアの指」
「手を握る泥棒の物語」
「しあわせは子猫のかたち」
「傷-KIZ/KIDS-」
「ボクの賢いパンツくん」
「ウソカノ」

暗いところで待ち合わせ

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。

映画化もされている長編作品。
目の不自由な女性の家に殺人犯として追われているアキヒロが紛れ込んだところから物語は始まります。タイトルと表紙、あらすじからは想像できないほど優しくハートフルな物語です。
冷たいところで孤独に震えていた二人が出会い、互いの優しさに触れ成長していく姿が面白く引き込まれます。

収録作品
暗いところで待ち合わせ」

平面いぬ

ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…

怖かったり、切なかったり、不思議だったり乙一ワールド全開の4遍が収録されています。どの作品も設定が面白く一気に引き込まれます。
特に収録されている「はじめ」は個人的に乙一作品の中で一番好きな作品です。
「はじめ」に関しては個別で記事も書いていますのでこちらからどうぞ。

収録作品
「石ノ目」
「はじめ」
「BLUE」
「平面いぬ。」

Arknoah 僕のつくった怪物

いじめられっ子の兄弟アールとグレイは、事故で亡くなった父親の書斎で妙な絵本を見つけ、異世界「アークノア」に迷い込んでしまった。そこは、戦争も飢饉もない、天井や壁に囲まれた箱庭のような絵本の中の世界。そして、アークノアを破壊すべく現れたおそろしい怪物を倒さなくては、二人はもとの世界に帰れないことを知る……。

乙一初の長編ファンタジー小説。
これまでの乙一作品とは全く違っていて超王道の異世界ファンタジー小説です。著者の多彩さがうかがえます。世界観の描写が秀逸でワクワクしながら読み進めることができ、児童向けですがファンタジー好きなら大人も楽しめるかと思います。
3部作になる予定で現在は続編の「Arknoah2 ドラゴンファイア」まで刊行されています。

収録作品
「Arknoah 僕のつくった怪物」

箱庭図書館

僕が小説を書くようになったのには、心に秘めた理由があった(「小説家のつくり方」)。ふたりぼっちの文芸部で、先輩と過ごしたイタい毎日(「青春絶縁体」)。雪面の靴跡にみちびかれた、不思議なめぐり会い(「ホワイト・ステップ」)。“物語を紡ぐ町”で、ときに切なく、ときに温かく、奇跡のように重なり合う6つのストーリー。

集英社WEB文芸の人気企画「オツイチ小説再生工場」にて読者が創作したボツ原稿を乙一が手を加えリメイクした6つの物語。
純粋な乙一作品ではありませんが、発想がバラバラの6つのアイデアを著者がまとめることによって普段と違った乙一を見ることができます。
一つの街で起きた6つの出来事がうまくリンクしていてどの話も面白く、特に「ホワイト・ステップ」は乙一好きなら納得できる内容になっています。

収録作品
「小説家のつくり方」
「コンビニ日和!」
「青春絶縁体」
「ワンダーランド」
「王国の旗」
「ホワイト・ステップ」

GOTH―リストカット事件

世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚している少年「僕」。人間の残酷な面を見つめるのを趣味とする美少女、森野夜。

死に対して異常な関心を持つ2人の高校生とその周辺で起きる事件を描いたミステリー。
猟奇的な事件を純粋な好奇心で追いかけ解決まで導く。主人公達の壊れ具合がこの作品独自の雰囲気を演出しています。
ミステリーということもあり乙一作品の特徴の一つである「どんでん返し」が盛り込まれています。
各話ともに読者が予想もしない展開に衝撃を受けます。

収録作品
「暗黒系 Goth」
「リストカット事件 Wristcut」
「犬 Dog」
「記憶 Twins」
「土 Grave」
「声 Voice」

ZOO 1 + 2

毎日送られる恋人の死体写真。その「犯人探し」に明け暮れる男は、やがて衝撃の事実を知ることに…!

乙一の代表作のひとつ。黒乙一と言われるホラーな作品が多い短編集。
エグい表現が多く人によっては全く受け付けないかもしれませんが、どの話も個性的で面白く、ぐいぐい引き込まれあっという間に読み終えてしまいます。
特に「SEVEN ROOMS」は緊張感、最後のオチも含めとても面白いのでおすすめです。
実写映画化もされています。

収録作品
「カザリとヨーコ」
「血液を探せ!」
「陽だまりの詩」
「SO-far そ・ふぁー」
「冷たい森の白い家」
「Closet」
「神の言葉」
「ZOO」
「SEVEN ROOMS」
「落ちる飛行機の中で」

くちびるに歌を

長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。合唱部顧問の音楽教師・松山先生は、産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ柏木に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。
一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。

提出は義務づけていなかったこともあってか、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた--。

新垣結衣主演で映画化もされている長編作品。中田永一名義。
複雑な悩みを抱えた少年少女たちが合唱を通して成長していく心温まる青春ストーリー。
中学生という多感な時期に本人では解決できないような問題に直面し、それでも逃げずに前を向く子供達に感動します。乙一らしいあっと驚く伏線も。
同世代の中学生はもちろん、大人にも読んでほしい一冊。

収録作品
くちびるに歌を」

ダンデライオン

11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。20年の歳月が流れていた。そこに恋人と名乗る西園小春が姿を現す。子ども時代と大人時代の一日が交換されたのだ、と彼女は話した。

一方、20年後の蓮司は11歳の自分の体に送り込まれていた。ある目的を達成するために、彼は急いでいた。残された時間は半日に満たないものだった–。

中田永一名義7年ぶりの長編。
11歳の子供時代と、31歳の大人時代の1日が入れ替わるタイムリープもの。
1999年と2019年を主人公とその周囲の人間の視点を目まぐるしく行き来して一つの事件を解決していくストーリー。タイムリープものは難解な内容になりやすいが、構成がしっかりしているのでかなり読みやすく綺麗にまとまった一冊。

収録作品
「ダンデライオン」

百瀬、こっちを向いて。

「人間レベル2」の僕は、教室の中でまるで薄暗い電球のような存在だった。野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、僕の彼女になるまでは――。しかしその裏には、僕にとって残酷すぎる仕掛けがあった。「こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった…!

全4つの短編からなる恋愛小説。永田永一名義。
全ての作品を通して高校生が主役なことから、思春期特有の感情を丁寧に描いています。不器用な主人公を見ていてもどかしいかったり、切なかったりいろんな感情が沸き起こります。どの作品も読んだあと心がほんわかする作品になっています。
表題作の「百瀬、こっちを向いて。」は映画化もされています。

収録作品
「百瀬、こっちを向いて。」
「なみうちぎわ」
「キャベツ畑に彼の声」
「小梅が通る」

吉祥寺の朝日奈くん

彼女の名前は、上から読んでも下から読んでも、山田真野(ヤマダマヤ)。吉祥寺の喫茶店に勤める細身で美人の彼女に会いたくて、僕はその店に通い詰めていた。とあるきっかけで仲良くなることに成功したものの、彼女には何か背景がありそうだ…。

せつない五つの恋愛模様を描く短編集。永田永一名義。
どの短編も面白くてとてもノスタルジックな気分にさせてくれます。
著者特有のミステリー的な仕掛けも施されているため、ただの恋愛小説ではなくミステリー作品として楽しむこともできます。
上で紹介した「百瀬、こっちを向いて。」が好きならこの本も絶対気にいるはずです。

収録作品
「交換日記はじめました!」
「ラクガキをめぐる冒険」
「三角形はこわさないでおく」
「うるさいおなか」
「吉祥寺の朝日奈くん」

メアリー・スーを殺して

「どこかでお会いしましたっけ?」
私はたずねた。そして気づく。少女の目は、左右で色がちがっている。
右の虹彩は黒色だが、左の虹彩は赤色。オッドアイ。
「もうわすれたの? きみが私を殺したんじゃないか」

乙一、中田永一、山白朝子、越前魔太郎の四人による短編集。
全て同一人物ですがそれぞれの作家としての特徴(切なかったり不気味だったり怖かったり)が出ていてこれ一冊でいろんな乙一が楽しめるようになっています。
乙一ファンであればどれか一つは必ず気に入るはずです!

収録作品
「愛すべき猿の日記」
「山羊座の友人」
「宗像くんと万年筆事件」
「メアリー・スーを殺して」
「トランシーバー」
「ある印刷物の行方」
「エヴァ・マリー・クロス」

私の頭が正常であったなら

最近部屋で、おかしなものを見るようになった夫婦。妻は彼らの視界に入り込むそれを「幽霊ではないか」と考え、考察し始める。なぜ自分たちなのか、幽霊はどこにとりついているのか、理系の妻とともに謎を追い始めた主人公は、思わぬ真相に辿りつく。その真相は、おそろしく哀しい反面、子どもを失って日が浅い彼らにとって救いをもたらすものだった――

ホラーな要素を漂わせどれも暗く悲しい話ではじまるが、最後には希望が残されていてどこか救われたような気持ちになる短編集。
どの話も不思議で切なくて胸に刺さります。

収録作品
「世界で一番、みじかい小説」
「首なし鶏、夜をゆく」
「酩酊SF」
「布団の中の宇宙」
「子どもを沈める」
「トランシーバー」
「私の頭が正常であったなら」
「おやすみなさい子どもたち」

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