中田永一という作家を知っていますか?
切ない恋愛小説や青春小説を得意とする作家です。
今日は中田永一「ダンデライオン」のあらすじとみどころを紹介していきます。
著者プロフィール
2008年 「百瀬、こっちを向いて」でデビュー。
2011年 「くちびるに歌を」で「第六十一回小学館児童出版文化賞」「2012年本屋大賞第四位入賞」
これまでに「くちびるに歌を」「百瀬、こっちを向いて」「吉祥寺の朝比奈くん」が実写映画化されています。
また仮面作家としても有名で、別名義ではミステリー作家「乙一」ホラー作家「山白朝子」映画監督「安達 寛高」としても活動しています。
あらすじ
11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。20年の歳月が流れていた。そこに恋人と名乗る西園小春が姿を現す。子ども時代と大人時代の一日が交換されたのだ、と彼女は話した。
一方、20年後の蓮司は11歳の自分の体に送り込まれていた。ある目的を達成するために、彼は急いでいた。残された時間は半日に満たないものだった–。
Amazonより引用
もともと映画の脚本として描かれた
出版時の著者のインタビューによると、もともと「ダンデライオン」は映画の脚本として書かれた物語でした。
今でこそ映画監督、脚本家としての活動を展開している著者ですが「ダンデライオン」が書かれた2013年当時は映画監督としては無名だったため、映画会社からの出資が集まらず映画化の予定は頓挫。
このまますボツになるのはもったいないという思いから小説にいたったとのことでした。
みどころ1 : 複雑な設定もわかりやすく描かれている
もともと映画の脚本として描かれていたということもあり、場面の展開やストーリーのテンポが非常にわかりやすく、タイムリープものにありがちな「複雑な設定」も「むちゃくちゃな設定」もなくすんなりと頭に入ってきます。
そのためストーリーに熱中して読み進めることができます。
みどころ2 : 観測された未来を超えた先
序盤から中盤にかけては世界観やタイムリープの説明を交え、主人公は未来の自分が残したノートを頼りにロト6や株で大儲けをしたり大地震を回避したりすでに知っている未来を歩みます。
物語の終盤、未来を知ったまま31歳になり1日だけ11歳の過去へ行き役割を果たし、31歳に戻ってきたところからストーリーは動き出します。
そこから先は作中ではまだ描かれていない、主人公も読者もまだ知らない白紙の未来です。
そしてここからの展開は熱いです。
みどころ3 : 過去の自分へ向けたたった一つの嘘
作中、主人公は自分の大切なもののために、他の大切なものを捨てなければいけない重要な選択を迫られます。
結局、過去の自分には嘘を教えるのですが、その時の主人公の心情を思うと切なさや虚しさ様々な感情に胸が締め付けられます。
何のために自分に嘘をつくのか、その嘘がどんな結果を生むのか?必読です!
みどころ4 : ミリ単位で計算された伏線
もともとミステリー作家だということもあり、どんでん返しや伏線回収が得意な著者ですが、この作品でもさまざまな箇所に伏線が散りばめられており、あっと驚く場面が何個かあります。
そして
まさに計算され尽くした作品です。
まとめ:タイムリープものが好きな人にはおすすめ
たった1日の出来事をここまで面白く書けるのはさすがとしか言いようがありません。
タイムリープと青春がうまく溶け合ったとても素敵な作品でした。
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